「あごがカクッと鳴る」「口を大きく開けられない」「朝起きるとあごやこめかみが重い」といった症状は、顎関節症や噛み合わせのトラブルが関係している可能性があります。
放置していると、痛みだけでなく頭痛・肩こり・歯のすり減りなど全身の不調につながることもあり、「顎関節症 どこで治す？」と悩まれる方も少なくありません。
この記事では、噛み合わせ治療に関する原因・代表的な症状・主な治療法の流れをわかりやすくまとめます。
目次
顎関節症とは？噛み合わせとの関係
顎関節症は、あごの関節（顎関節）やその周囲の筋肉・靭帯などにトラブルが起きることで、「痛み」「口が開きにくい」といった症状が現れる状態の総称です。
原因は一つではなく、噛み合わせのアンバランス、歯ぎしり・食いしばり、ストレスや姿勢の悪さ、外傷など複数の要因が関係すると考えられています。
噛み合わせが大きく崩れている場合には、特定の歯や筋肉に負担が集中し、顎関節症の症状が出やすくなります。一方で、噛み合わせがそれほど悪くなくても、日常的な食いしばりや頬杖、片側だけで噛むクセなどが重なり、顎関節に負担をかけているケースもあります。
顎関節症の代表的な症状チェック
顎関節症は、次のような症状が複数当てはまると疑われることが多いです。自分の状態を簡単にチェックしてみましょう。
よく見られる症状
– 口を開け閉めするときに「カクッ」「ザラザラ」と音が鳴る
– あごの付け根（耳の前あたり）が痛む、押すと痛い
– 朝起きたときにあごがだるい、こめかみや頬の筋肉が疲れた感じがする
– 口が指2〜3本分ほど開かない、開けようとすると痛みが出る
– 噛み締めると特定の歯だけ強く当たる感じがする
このほか、頭痛や首・肩こり、耳鳴り、めまいなど、全身症状を訴える方もいます。ただし、これらはすべて顎関節症が原因とは限らないため、他の病気との鑑別も含めて医療機関で確認することが大切です。
放置すると起こりうるリスク
症状が軽いうちは自然に落ち着く場合もありますが、負担が続くと、
– 顎関節の軟骨（関節円板）の位置ズレ・変形
– 歯のすり減りやヒビ・知覚過敏
– 噛み合わせのさらなる悪化
につながることもあります。
早めに原因や習慣を見直しておくことで、将来的な歯や関節のトラブルを予防しやすくなります。
顎関節症・噛み合わせの主な原因
顎関節症は多因子疾患と呼ばれ、一つの原因だけでなく複数の要素が組み合わさって発症すると考えられています。ここでは代表的な要因を整理します。
生活習慣・クセによる負担
– 歯ぎしり・食いしばり
– 頬杖・うつぶせ寝・横向き寝などの姿勢
– 片側だけで噛むクセ
– 長時間のスマホ・PC作業による猫背やうつむき姿勢
こうした習慣は、無意識のうちに顎関節や咀嚼筋へ大きな負担をかけます。特に食いしばりは、起きている間のストレスや集中時にも起こりやすく、自覚がないまま症状を悪化させているケースもよく見られます。
噛み合わせや歯並びの影響
– もともとの歯並び・骨格による噛み合わせのズレ
– 大きな虫歯や被せ物が合っていないことによる噛み合わせの変化
– 歯の欠損を放置した結果、上下の噛み合わせバランスが崩れている
噛み合わせが不安定な状態が長く続くと、特定の歯や筋肉・関節に負担が偏り、顎関節症の症状が出やすくなります。噛み合わせが原因かどうかの判断には、歯科・矯正歯科での詳しい診査が必要です。
顎関節症は「どこで治す」のが適切か？
「顎関節症 どこで治す？」と検索すると、歯科・口腔外科・整形外科・整体などさまざまな情報が出てきて、迷ってしまう方も多いはずです。基本的な考え方としては、まず歯科（特に顎関節症や噛み合わせに詳しい歯科・歯科口腔外科）での相談が推奨されます。
歯科・歯科口腔外科でできること
– 口腔内診査・顎関節や筋肉の触診
– レントゲンやCTを用いた骨・関節の状態確認
– 噛み合わせ・歯列のチェック
– スプリント（マウスピース）療法や咬合調整、生活指導
歯科は、歯・噛み合わせ・顎関節の三つのバランスを見ることができるため、原因の切り分けや全体的な治療方針の決定に適しています。必要に応じて、大学病院口腔外科や他の診療科と連携しながら治療を進めることもあります。
整体・マッサージなどはどう考える？
整体・マッサージなどは、筋肉のこりを和らげることで一時的に症状が軽くなる場合もありますが、
– 噛み合わせや歯の状態を診断できない
– 適切でない施術が関節に負担をかける可能性がある
といったリスクもあります。
明らかな顎関節症状（口が開かない・強い痛み・関節雑音など）がある場合は、まず歯科・歯科口腔外科で診断を受けたうえで、必要に応じて他のケアを検討するのが安全です。
顎関節症・噛み合わせの主な治療法
顎関節症の治療は、「原因を取り除く」「負担を減らす」「症状を和らげる」の3つを軸に、段階的に行われます。ここでは歯科で一般的に行われる主な治療法を紹介します。
スプリント療法（マウスピース治療）
透明または半透明のマウスピース（スプリント）を歯列に装着し、
– 歯ぎしり・食いしばりの力を分散させる
– 筋肉や関節への負担を減らす
– 一時的に噛み合わせを安定させる
ことを目的とした治療法です。
主に就寝中に装着するタイプが多く、痛みの軽減や筋肉の緊張緩和に有効なケースがあります。ただし、スプリント単独で根本原因が完全になくなるわけではないため、生活習慣の見直しや噛み合わせ・歯列の改善と組み合わせて考える必要があります。
生活指導・セルフケアの改善
顎関節への負担を減らすため、次のような指導が行われることが多いです。
– 日中の「上下の歯を離す」意識づけ（TCH：歯列接触癖の是正）
– 頬杖・うつぶせ寝・片噛みなどのクセの改善
– 柔らかすぎる・硬すぎる食品の偏りを避ける
– ストレスコントロールやリラックス法のアドバイス
こうしたセルフケアは、即効性こそ限定的ですが、長期的な再発予防や治療効果の維持に欠かせない要素です。
噛み合わせ・歯列の治療
噛み合わせの不良が大きな要因と考えられる場合、
– 被せ物・詰め物の高さや形の調整
– 歯列矯正による噛み合わせ改善
– 欠損部位への補綴治療（ブリッジ・インプラント・入れ歯）
などが検討されます。
噛み合わせ治療は、顎関節症のすべての症例に必須というわけではありませんが、明らかに噛み合わせのアンバランスがある場合には重要な選択肢になります。治療の範囲が大きくなるため、メリット・デメリットを含めて慎重な検討が必要です。
まとめ
顎関節症や噛み合わせのトラブルは、「顎関節症 症状」「顎関節症 どこで治す」といった疑問のとおり、原因が複雑でどこに相談すべきか迷いやすい疾患です。
あごの痛みやカクカク音、口の開けづらさ、歯ぎしり・食いしばりなどが気になり始めたら、まず歯科（特に顎関節症や噛み合わせ治療を扱う歯科・歯科口腔外科）で診査・診断を受けることが、適切なスタートラインになります。
治療は、スプリント療法や生活習慣の見直しで負担を減らすことから始まり、必要に応じて噛み合わせや歯列の治療を組み合わせて進めていきます。
症状が軽いうちに原因を探り、早めに対策を取ることで、将来の歯や関節へのダメージを減らしやすくなります。「最近あごが気になる」「これは顎関節症かもしれない」と感じたら、自己判断で放置せず、一度専門家に相談してみてください。